モルタル外壁のメリットとは?デメリットや種類についても解説
投稿日:2025年1月25日 更新日:2025年1月27日
1990年以前までは、モルタルが外壁材の定番でした。
しかし、現在は窯業系サイディングが広く使われています。
これは、窯業系サイディングが大量生産でき、価格も比較的安いためです。
一方で、モルタルは職人の手作業で仕上げるため自由なデザインが可能で、独特の風合いを出すことができて経年変化も美しいのが特徴です。
この記事では、モルタル外壁のメリット・デメリットを詳しく解説します。
モルタル外壁とは
モルタル外壁はセメントと水を主成分とする外壁材で、日本の住宅に使用されている外壁材として窯業サイディングに次いで広く用いられています。
職人の手によって自由な形状や凹凸を表現できるため、個性的な外壁デザインを実現できます。
その高いデザイン性から、他の外壁材にはない魅力を持ち、多くの住宅で採用されています。
モルタルの種類
モルタル外壁の種類は主に4つです。
リシン吹き付け
リシン吹き付けとは、砂利のような小さな粒子が混ざった塗料をリシンガンで吹き付けることで、表面がザラザラとした独特の風合いを出し仕上げる日本の住宅の外壁材方法です。
メリットは、広範囲を短時間で仕上げられるため、工期や費用を抑えられることです。
また、ザラザラとした質感が落ち着いた雰囲気を演出します。
一方デメリットは、ひび割れが発生しやすいことです。
また、表面がザラザラしているため、汚れがつきやすく掃除がしにくいです。
スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げとは、セメントや塗料、砂などを混ぜ合わせた厚みのある塗料を外壁材に塗ります。
凹凸のある独特の風合いを出し仕上げる方法で、リシン吹き付けよりも厚みがあり、5mm〜10mmほどの凹凸が特徴です。
デザイン性に優れ、厚みのある凹凸が重厚感や立体感を出すことができる点がメリットになります。
また、厚みがあるため一般的な塗装よりも耐久性が高いです。
一方デメリットは、凹凸が多いため汚れが溜まりやすく掃除がしにくいことです。
また、塗り替えの際には他の塗料と比較すると2倍以上使用するため、その分材料費や施工費が高額になる傾向があります。
吹き付けタイル
吹き付けタイルとは、専用の機械であるタイルガンを使って、壁面に厚みのある塗料を3回に分けて吹き付け仕上げる方法です。
吹き付ける粒子の大きさやタイルガンの口径を調整することで、様々な質感の壁面を作ることができます。
そして、吹き付けには中粒仕上げと抑え仕上げがあります。
中粒仕上げは、紙粘土のような材料を壁面に吹き付け凹凸をつけて仕上げる方法です。
それにより、自然な風合いを出すことができます。
一方、抑え仕上げは機械を使用し塗料を吹き付けた後、塗料が乾燥する前にコテやローラーを使って平らに押さえ、滑らかな質感にする方法です。
メリットは、デザイン性に優れ、陶磁器のような高級感のある風合いを出すことができる点です。
また、厚みがあるため一般的な塗装よりも耐久性が高くなります。
一方、施工が難しく熟練の技術が必要で、材料を混ぜる際に大きな音が発生したり、材料が飛び散りやすく周囲を汚す可能性があります。
左官仕上げ
左官仕上げとは、職人がコテと呼ばれる道具を使って、壁面に塗料やモルタルなどを塗り仕上げる方法です。
職人の手によって様々な模様を表現できるため、デザインの自由度が高い魅力があります。
一方デメリットは、職人の技術によって仕上がりが大きく変わってしまうことです。
また、職人の手作業のため、機械を使った仕上げに比べて工期が長くなってしまいます。
モルタル外壁のメリット
モルタル外壁のメリットは、主に3つあります。
耐火性・耐久性に優れている
不燃性の材料であるセメントや砂・水によって作られているため、火災に強く延焼しにくく耐火性に優れています。
また、火災時に有害なガスを発生させない利点もあります。
他にも、モルタル外壁は強度が高いため台風や強風による外部からの衝撃にも強く、飛来物などによる損傷のリスクを減らすことが期待できます。
デザインの自由度が高い
モルタル外壁は、使用する材料や施工方法によって多様な表現が可能です。
また、混ぜる砂の種類や量、繊維の種類などの素材の組み合わせによって、様々な組み合わせができます。
他にも、窯業系サイディングのように継ぎ目がないため、壁面全体が一体となり美しい外観を実現できます。
快適な環境の維持
モルタル外壁は、遮断性に優れ金属のように熱を吸収しにくい性質を持っています。
そのため、夏場の室温上昇を抑え快適な室内環境を保つことができます。
モルタル外壁のデメリット
次にモルタル外壁のデメリットを見ていきましょう。
汚れが付きやすく、落ちにくい
モルタル外壁はデザイン性に優れた凹凸のある仕上がりですが、その隙間に汚れが溜まりやすく掃除が困難といったデメリットがあります。
特に、ススや花粉などは奥深くに入り込んでしまい、通常の洗剤では落ちにくい場合があります。
また、自動車や工場から排出される排気ガスや雨に溶け込んだ汚れなどが、外壁に付着し徐々に変色させる原因にもなります。
ひび割れが発生しやすい
外壁に継ぎ目のないモルタル外壁は、ひび割れが生じやすいです。
また、防水機能が高くないため、乾燥と湿潤を何度も繰り返しているうちにひび割れが発生します。
ひび割れ部分から雨水が浸入すると、建物の内部を腐食させたりカビが発生したりと、建物の寿命を縮める原因になります。
ひび割れの進行具合によっては塗り替えが必要です。
メンテナンスのコストが高い
モルタル外壁は、工程が複雑で施工期間も長いです。
そのため、他の外壁材と比べるとコストが高くなる傾向があります。
まとめ
職人の手により様々な形状を作り出せるモルタル外壁は、その自由度の高さから今でも人気のある外壁材です。
また、セメントと水・砂といった不燃性の材料で作られるため、強度があり耐火性に優れています。
さらに、遮断性にも優れているため、夏場でも室温の上昇を抑えて快適な環境を保つことができます。
一方、デメリットは凹凸のある仕上がりのため、その隙間から汚れが溜まりやすく掃除が困難なことです。
また、防水性が高くないためひび割れが発生しやすいです。
モルタル外壁は、日本の伝統的な雰囲気のある住宅や個性的な外観にしたい方におすすめです。
その際、職人の腕によって仕上がりの雰囲気が異なるため、実績のある職人に依頼することをおすすめします。
*K*
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